なぜいま「働き方」がそこまで重要なの?働き方の歴史的な変遷とは

あちこちで叫ばれている「働き方改革」と言う言葉。

どのメディアでも働き方改革と言う言葉が叫ばれて、様々な働き方を認めるべきだ、と言うタテマエで溢れていますね。しかしなぜそこまで働き方改革が重要なのでしょうか?
この投稿ではその歴史的な背景からご説明をします。

かつての幸せのあり方は均一だった:20世紀以前

今の働き方を振り返る前に、歴史的な働き方はどうだったのかを見てみましょう。

江戸時代

日本で組織で働くことが初めて問題になるのは明治維新の後、明治時代のことです。
これより以前の江戸時代には雇用契約と言う考え方が存在しませんでした。当時は丁稚奉公や師匠と弟子と言う形で1つの店に一生仕えるのが普通であり、そこには契約も存在しませんでした。
今でも伝統工芸や芸能等の一部の分野では契約も結ばずに取引することがよくありますが、それはこの頃からの名残です。

明治時代

明治時代に話を戻しましょう。
明治維新によって初めて法律の考え方が西洋から輸入され、同時に契約と言う考え方も日本に入ってきました。そして当時の労働賃金は、出来高もしくは時間給が普通でした。これは当時の最先端産業がほとんど第二次産業、いわゆるブルーカラーだったことに起因するものです。労働者保護の考え方もまだ存在せず、1日16時間労働も当たり前と言う世界でした(細井和喜蔵「女工哀史」など)。

大正-太平洋戦争まで

現代の私たちサラリーマンの働き方の起源は1920年代にホワイトカラー層が出現したことが始まりです。
オフィスワーカーと言うものが出現したのがこの時代だったのです。しかし当時は現代とは異なり、年俸制に近い労働契約が普通でした。
例えば当時の文学作品では、「月俸いくら」という表現が出てきますね。

僕は一月六十円の月俸を貰ひ、昼は英文和訳を教へ、夜よるはせつせと仕事をした。それから一年ばかりたつた後のち、僕の月俸は百円になり、原稿料も一枚二円前後になつた。

-芥川龍之介「身のまはり」(1925年)

太平洋戦争が昭和の働き方の起源に

これが大きく変化したのは太平洋戦争です。当時の戦争の物資を供給する必要性から、総力戦が叫ばれ、国のために労働すると言う考え方が生まれました。そして生産量は必達とされ、戦争のためにありとあらゆる手段をとってでも働き方を犠牲にするという概念がここで生まれました。

戦争が終わってからは、日本は経済成長が続く時期が始まりました。その中で企業は画一的な幸せを労働者に提供できる手段として注目されます。この企業が提供する幸せとは、皆が同じような給料をもらい、皆が同じような車に乗り、皆が同じような家を建て、皆が同じような老後を送ることでした。この時代の幸せのあり方は画一的だったのです。そして企業が労働者に対して幸せを提供する代わりに、労働者は企業のために何でもやるべきだ、と言うのがこの考え方のもたらした結果です。かつての昭和の「モーレツサラリーマン」たちは、企業が幸せを提供するからこそ成り立っていたのです。

幸せのあり方が変わった:平成から令和まで

しかしこの働き方は20世紀までの働き方です。社会が豊かになり、企業が提供する幸せの限界も見えてきました。そして企業をとりまく環境が国際競争などによってますます厳しくなると、労働者に将来にわたって幸せを提供できる企業は少なくなってきたのです。それが住宅控除の廃止や、様々な企業年金の減額や廃止等となって現れたのが90年代から2000年代にかけて起こったことです。

そしてこの時代に起こったのが、企業が労働者にやりたくない仕事を押し付けることに対する反感です。かつて企業は絶対的な力を持っており、モラルに反するような商材の営業でも、非人道的なほどに辛い単純作業でも、様々な圧力で持って労働者に強制させることができました。しかしそれは個人が次第に豊かになるにつれて疑問視されるようになりました。

現代の令和を生きる幸せのあり方は、やりたくない労働からの解放です。モラルに反することや、自分がやりたくないことはやらない。本当に自分が良いと思ったことだけをやりたい。そのような考え方が世の中の中で少しずつ主導権を握りつつあります。
働き方改革が世の中でこれだけ支持されている理由は、企業がもたらしてきた画一的な幸せのあり方が終焉し、個人が力を持ってきていることに起因するのです。

なぜ働き方改革が叫ばれるのか?のまとめ

いかがだったでしょうか。
このように歴史的な背景を振り返ると、働き方改革とは何の脈絡もないトレンドではなく、歴史的な経緯からまき起こった、必然の流れだったのです。

企業と個人の関係は常に変化しつつあります。もし自分の勤めている企業や経営している企業と、個人の労働者との関係に疑問があるのであれば、大局的に考えてみるのも良いかもしれません。