業務請負を始める前に知っておきたい、定額制と時給制のメリット・デメリット

筆者は現在業務委託にて生計を立てていますが、始める際にいつも必ず悩むことがあります。
それは定額制の業務委託時給制の業務委託どっちが良いのかと言うことです。

定額制とはここでは業務委託をする上で1ヵ月間に支払われる報酬が既に決まっているものを指します。
時給制とは働いた分の時間を報告してそれに対する報酬を支払われるものです。

実は両方のやり方にメリットとデメリットがあるのです。今回はそんな定額制と時給制のメリットとデメリットについて、それぞれ求職者側と企業側の目線からご紹介していきます。

時給制の業務委託のメリット・デメリット

時給制のメリット:残業の心配がない

まずは求職者の方から見た際のメリットです。

時給制には残業と言う概念が存在しません
残業があればその分だけ時給を請求すればいいだけです。そのためこっぴどい残業等で散々な目に遭わされてきた会社員や成果報酬型の業務委託経験者には、救いの手に見えるでしょう。実際に時給制で換算してもいいと言われる事は、そのような求職者にとってはとてもありがたいことだったりするわけです。

時給制のメリット:人件費を調整しやすい

これは企業側から見たメリットです。

面接で何らかのミスによって極めて高い人件費を払うことになってしまったが、いざ働きだしてみたら全く期待はずれだった、といったミスを防ぐことができます。
このような場合、あらかじめ業務委託の契約書に報酬は何ヶ月ごとに見直す、と言う情報を盛り込んでおけば問題ありません。また逆の場合も然りで、業務委託を請け負っている側からすると不公平な人件費を柔軟に変動させやすいのが、時給制と言う仕組みです。

定額制でももちろん変更はできますが、心理的なハードルは時給制よりもかなり高く、価格見直し時のトラブルになりやすさは段違いだと言うことができるでしょう。

デメリット:実際の作業時間と乖離する場合に気を遣ってしまう

これは求職者側のデメリットになります。

時給制で実際の作業時間と乖離する場合があるのか、思われる方もいらっしゃるでしょう。実際には、ずれる場合も多々あります。在宅ワーク等で仕事をしている場合はこのケースがかなり多いです。ウェブエンジニアなどもこれに該当することがあります。

実際には160時間として報告していても、その準備にかかったり、移動などでそれ以上の時間が費やされている場合、その時間をどのように報告すべきかが、かなりの迷いどころになります。
時給制で契約する場合は、想定労働時間が160時間や96時間といった形で契約することも多く、それを上回ってしまった場合は無能扱い、つまり契約解除になるのではないか、と考えてしまうこともあるのです。
些細なことに思われるかもしれませんが、日々労働時間をオーバーしている場合などはかなりの悩みどころです。日々ストレスも溜まりますし、ものすごく負担になるのです。
特に高時給であればあるほど、「所定の時間に収めないと無能扱いされる」という恐怖が増します。理想は、その乖離をきちんと話せる関係性を作っておくことです。

デメリット:労務管理が煩雑になる

こちらは企業側のデメリットになります。

人によって時給や想定労働時間が異なると言う事態になると、労務側の負担が増大します。
例えば、Aさんは時給3000円で120時間契約、Bさんは時給5000円で60時間契約、などと言ったように何人にも時給も労働条件も異なる人がバラバラになってしまうと…まさに悪夢です。
しかも時給制にした場合はある程度人件費が変動するので、今後の人件費が正確に読みづらくなると言うデメリットも存在しています。ですがこの労務管理にはミスは全く許されません(ミスすると最悪、裁判沙汰です)ので、労務管理の負担が増えるのはなんとも悩ましいポイントなのです。

定額制の業務委託のメリット・デメリット

メリット:信頼の証になる

求職者の方から見た際のメリットです。

求職者側からすると定額制の契約を結んでもらえた場合は信頼の証になります。特に高い価格であればあるほど相手は自分のことを信頼してくれているのだな、と感じてよりモチベーションがアップすることは間違いありません。あなたは月300,000円の契約で業務委託をさせて欲しいと言い、企業がそれを受け入れてくれたのであれば、あなたはその企業に対してなんらかの恩を感じるはずだからです。

メリット:労務管理はしやすい

定額制の企業側から見たメリットは、労務管理のしやすさにつきます。

時給制の労務管理はバラバラで本当に集計だけでも大変ですが、定額であれば企業は労務管理はかなりしやすいです。変動することもありませんので、今後の人件費なども極めて読みやすくなります。労務関連とって時給計算でミスを出してしまうのは最も避けたい事態です。
そもそもいくら時給計算などをしていても売り上げは1銭も上がりませんからね。なるべくシンプルな労務管理にしておくためにはやはり定額制が最も適しています。

デメリット:大幅な値下げがありうる

これは高額で契約すればするほどそうなることが多いのですが、あまりにも高額で契約してしまうと、企業側から見たハードルが上がっていくのです。あなたには時給何千円も払っているのだから、これができますよね、あれもできますよね、といったように要求される水準がどんどん上がっていきます。

もちろんそれに見合うだけのスキルがあれば全く問題は無いのですが、問題はできなかった時です。できないと値下げの余地を企業側に与えてしまうのです。そうなると次の契約の見直しの時に大幅に値下げを迫られる要因になってしまうのです。

デメリット:時給制よりも価格の再交渉がしづらい

時給制は価格の見直しを前提にした契約、と言うような暗黙の同意がありますが、定額制にはそれがありません。もちろん業務委託には解雇規制もないので値下げがしたければ交渉すれば良いのですが、これが定額制だと心理的なハードルが高く、求職者と揉めることがあるのです。

最も多いのは定額で入れてみたけれども期待したパフォーマンスを発揮してくれないパターンで、見直しがしづらいというもの。このような面倒な交渉をきちんとこなせるかが、経営者や社会人としてのスキルが問われる瞬間といっても過言ではありません。

おすすめの方法:きちんと両者合意の上で時給→定額へ

ちなみに筆者お勧めの方法は、最初は時給制で入ってもらい、本音で話し合える関係性をきちんと作ってから定額制へ移行することです。
時給制は再交渉を前提にした制度なので、実際のところのスキルがわからないうちは時給制にしておいた方が良いのです。時給制にしておけば最初のうちは少なくともきちんと稼働しないとお金が入ってこないので、ばっくれることもありません。

ちなみに、最初から定額制にすると求職者が(たまに)ばっくれることがありますので、要注意です!
業務委託をしたい人はばっくれようなんて事は考えてはいけませんよ。

まとめ

いかがだったでしょうか。求職者と企業側それぞれから見た時給制と定額制の業務委託のそれぞれのメリットとデメリットをご紹介しました。
当たり前ですがどんなものにも良い面と悪い面がありますので、きちんと自分の状況を鑑みながらどちらが良いのかを選択していきましょう。