転職でも副業でもない新しい考え方「コミットメントシフト」とは?

あなたはコミットメントシフトという単語を聞いたことがあるでしょうか?
これはリクルート・ワークス研究所の古屋星斗氏が提唱している考え方です。
今回はこの考え方についてご紹介します。

コミットメントシフトとは「自分のやりたい事」のシフト

古谷氏の提唱するコミットメントシフトとは、転職や副業等の収入源の移り変わりとは異なった考え方です。その本質は「自分のやりたいことにコミットする内容の移り変わり」だと提唱しています。

どういうことなのかもう少し具体的に考えてみましょう。
あなたが車のセールスマンだとします。あなたが仕事の上でコミットメントしなくてはいけない事は「車を売る」ことです。しかし仕事上はそうでも、本当にあなたがやりたい事はどうでしょうか?
例えば車を売ること以外に、絵を描くことが好きだとしたら?

もしそうだとしたら、仕事上では車を売ることが重要でも、あなたはひょっとしたら仕事終わり次第すぐに家に帰りたくなるかもしれません。あなたは絵を描くことがどうしても好きだからです。

そうして絵を書くことに対する情熱を抑えられなくなり、数年経って絵画に関する職業に転職を考え始めるでしょう。車より絵画の趣味をすることの方が重要になってしまう。
つまり仕事上のやらなくてはいけないこととは別に、自分の人生においてコミットメントしたいものができてしまうわけです。

これがコミットメントシフトと呼ばれる現象です。

コミットメントシフトと転職の違いは?

ではこのコミットメントシフトと言う考え方は、転職や副業で何かを始めることと何が違うのでしょうか?

実はコミットメントシフトは収入に結びついていませんそれどころか費やしている時間とも連動していないことがあります。コミットメントシフトは、単に仕事や収入といった軸ではなく、いくつかの軸で考えなければ捉えられない現象なのです。

古谷氏が提唱しているのは、それぞれ自分がコミットメントしていることをミッション、時間、収入の別で考えてみることです。
例えば前述の車の営業マンで考えてみましょう。

収入…10:0で車の営業。転職する前の段階の車の営業マンとして、収入は全て絵画ではなく車の営業をすることで得ています。ひょっとしたら自分の絵画を趣味で友達に売ったりしているかもしれません。その場合でもせいぜい10対1で車の営業と絵画の収入、ということになるでしょう。どのみち多数派なのは車の営業です。収入別にみると完全に車の営業にコミットしていることになりますね。

時間…7:3で車の営業:絵画。この営業マンは普段過ごす時間の7割ほどを車の営業に費やしていますが、残りの時間を絵画の趣味に当てています。早速収入と時間の配分にズレが生じてきましたね。

ミッション…4:6で絵画の趣味の方が多い。ミッションとはその人が本当にやりたいと思っていることです。この人の頭の中は車の営業より絵画の方で占められています。仕事中も上の空になる瞬間があると言う事ですね。この人はすでに本当にやりたい事は絵画のほうに意識が向いてしまっているので、このような配分になってしまっています。

このように、時間と収入とミッションで配分が異なっている状態が人によっては存在しています。
コミットメントシフトと言う考え方を捉えきるには、自分が今実際のところ何をしているのか、ということに興味を向ける必要があります。

バラバラなのはけしからん?

さてコミットメントシフトの黎に車の営業と絵画に興味があるサラリーマンと言う、全く関係のないバラバラなことに興味のある転職する前の人を使ってしまいましたが、別にコミットメントシフトは「本人が本当にやりたいことに注目してその移り変わりを考えよう」と言うだけで、別にそのような人を応援したり非難したりするものでは無いことに注意してください。
あくまでそのような状態があることを捉えるための言葉です。

そして実はこのような状態をどのように考えるかは時代によってかなり変遷してきています。例えば昭和時代のモーレツサラリーマンは、収入もミッションも100%一致させることが求められていました。あなたが昭和期のソニーに入社して家電を売る担当になったとしたら、

寝ても覚めても家電のことを考えるのが望ましいとされていましたし(=100%のミッション)、
朝から晩まで猛烈に働くことが模範的だとされていましたし(=100%の時間配分)、
当然収入もソニー本体に依存するのがあるべき姿で、副業など浮気に等しくとんでもない(=100%の収入)

という状態でした。

これが平成の時代を経てちょっとずつ移り変わりが起こりました。

現実的に考えて寝ても覚めても仕事のことを考えられる人なんて少ないですし(100%のミッションに対する疑問)、
朝から晩まで働いて過労死で倒れた人が世論で反発を招き(100%の時間に対する疑問)、
経済成長もしないので給料の伸びもそこまで望めない一方で副業も認められていなかった(100%の収入に対する疑問)。

それが平成時代の働き方の現実でした。

今は令和の新時代です。

寝ても覚めても仕事のことを考える必要は無いよね、という価値観が広まってきましたし、
企業は残業を強制的に取りやめて早く帰すようにし始めましたし、
副業も解禁され様々な選択肢が認められるようになってきました。

これらの考え方が良いか悪いかはさておき、気をつけなければいけないのは収入と時間とミッションにそれぞれ乖離がある状態に対して良いのか悪いのか、という考え方はいくつか存在していることです。
コミットメントシフトはそれに対して良いとも悪いとも言っていません
そのような捉え方で見てみると、いろいろなことが説明できるのではないかと言っているだけなのです。

自分の人生をコミットメントシフトから捉え直そう

いかがだったでしょうか。自分のやりたい事は移ろいゆくのではないか?を説明したのがコミットメントシフトと言う考え方でしたね。

もしこの考え方が気になるのであれば、まずはあなたの生活や収入について、時間と収入とミッションの配分を考えてみてはいかがでしょうか。
自分の隠れた側面が見えてくるかもしれません。