なぜ転職エージェントの質はバラバラなのか?その理由を解説します

あなたが転職をするときにほとんど頼るのは人材会社、つまり転職エージェントのはずです。
そして転職エージェントの腕の良し悪しによって、あなたの転職先の良し悪しも変わってしまいます

人材業界にはこの良い転職エージェントを自ら指名できる仕組みと言うものがなく、あなたが転職活動をするときのエージェントは基本的に選べません。つまり1種の宝くじ、チキンレースなのです。

なぜこんなことになってしまうのでしょうか?こっちは人生がかかっているのに、転職エージェントという嬉しくもない宝くじに参加させられるのは堪ったものではありません。
今回はそんなことになってしまう理由を、人材紹介業の歴史と構造からご紹介します。

なぜ転職エージェントの質は玉石混交か

1.人材会社が作りやすく、雑な会社でもすぐに作れてしまう

実はこれが最大にして最恐の元凶です。
つい数年前まで、人材紹介会社は簡単に作れてしまうことで有名でした。

人材紹介会社を作るには、人材紹介業の届け出を国に対して行う必要があります。この届出の要件が、わずか数年前までものすごく簡単な基準に抑えられていたのです。要求される資本金の額はわずかで、オフィスの要件などもほとんどなく、どのような人を配置すべきかと言う規制もほとんどなかったのです。

このため人材紹介会社は破竹の勢いで増えていきました。
なぜこのような状況が国によって黙認されていたのかと言うと、2000年後期ごろから始まった労働市場の自由化が原因です。正社員雇用を減らし、非正規雇用を増やすことで労働市場を規制改革することが、日本の企業の生産性を高めるために必要なことだと信じられていました。実際にこれらの規制改革は多くの実績を上げたのですが、それらに必要だったのが大量の人材紹介会社です。そのため国は明らかに人材紹介会社の立ち上げに必要な要件を緩和して、労働市場が自由化する下地を作ろうとしていました。

実際にこの間、人材紹介会社各社の売り上げや企業数は相当な勢いで伸び続けました。誰でも知っているような大手の転職エージェントだけではなく、地方で小規模なビジネスを相手に人材紹介をする企業までが次々と現れ、「起業するなら人材紹介会社が有利」と言われ出す始末。

この時期に人材紹介業の経験が薄く、いい加減な業者も大量に新規参入したのです。
これが現状の多すぎる転職エージェントの最大の原因なのです。

2.ほとんどの会社で売り上げを競っておりノーハウを共有する理由がない

このように破竹の勢いで飲み続けた人材紹介会社ですが、必要なのは売り上げです。つまり人を紹介してそれに対する手数料をもらうのです。この手数料が多ければ多いほど会社の利益が上がることになります。そのため人材紹介会社と言えば「営業」がもてはやされるようになったのです。今でも人材紹介会社に入社すればほぼ間違いなく営業として配属され、過酷な売り上げ目標のもと必死の営業を繰り広げることになります。転職エージェントという営業職個々人に対して売り上げ目標が設定されているため、良い人であるよりも、売り上げがすぐに立てられるバリバリ営業マンの方が優秀だと言うことになるわけです。彼らは自分の顧客を他のライバルたちに明け渡したりなどは決してしません。それは常識からしてはありえないことです。
このようにして人材紹介会社の営業には競争的な風土が出来上がっていきました
これは現在でも続いており、今でも多くの人材紹介会社の営業職が気にするのは自分が立てた売り上げです(もちろん全員ではありませんが、業界全体にこのような傾向があるのは確かです)。

3.人材業界は売り上げが立てやすく、淘汰されない

実は人材業界はかなり企業にとっての利益が立てやすい構造になっています。

そもそもの人材紹介会社の売り上げがどのように立つのかと言うと、転職者が獲得した年収の30%から40%が手数料として支払われる成果報酬型の紹介手数料です。つまり年収1000万円の人を転職させれば、それだけで300万円から400万円もの売り上げが立つということです。
このような人を何人も同時に顧客として抱えていればどうでしょうか?掛け算で、売り上げはどんどん伸びていきます。3人いれば1000万円、30人居ればなんと1億円の売上。1億も売上があれば立派な企業です。これがわずか30人の人材紹介実績で達成されてしまうのです。
人材紹介業がなぜ破竹の勢いで伸びたのかご理解いただけるでしょう。

また製造業等と違って固定費はあまりかからないコスト構造です。人材紹介業には、せいぜい人件費と最低限のオフィスがあれば問題ありません。例えば製造業であれば、ここには多くのコストがかかります。人件費だけではなく、多額の製造機械の運用コストや、それを設置する工場の不動産料などが、向上を動かさなくてもかかってくるからです。

人材紹介業はこのようなコストはかかりません。かけられるコストが低いので、企業から見ればこれほど旨みのある業界もなかなかないのです。

つまり誰でも割と簡単に収益を上げられるので、ノーハウのない雑な企業でも生き残ってしまうのが実情です。本来であれば淘汰されるべき質の低い人材紹介会社がそのまま生き残ってしまっている、というワケです。

あなたの転職エージェントが「宝くじ」な理由とは?まとめ

簡単すぎる人材紹介業の設立基準や、売り上げだけを目標とし設置し競争的な営業風土を作り上げたこと、そして何よりも淘汰されない収益構造と言う3コンボは、転職エージェントを「宝くじ」状態にしてしまったのです。

もちろん最近ではこれらの傾向は改善されてきています。人材紹介業の設立基準を厳しくなり、インターネットの口コミサイトの普及などによって悪い評判は一瞬で広まるようになりました。

しかしそれでも転職エージェントは殆ど選べないのが実情です。これを避ける方法は「信頼のできる人から紹介してもらう」などの方法がありますが、筆者の周りではこれでも確実ではなかったと言う声が相次いでいます。なので、あまり信用しない方が良いでしょう。

簡単に転職と言う手段にすがりつくよりかは、あなたができる範囲でまずは簡単に副業などを始めてみるのはいかがでしょうか。興味のある業界で副業をすることで、本当にこの業界に転職をすべきなのか覚悟が決まります。転職に先立って(実際に役立つかはともかく)人脈も得られるので良いことずくめです。

転職エージェントに頼るよりも、まずは簡単に副業してみると言う選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。