「言葉にならないモノ」を売れるマーケターにならないと希少価値はない!というお話

2019年7月25日

管理人は様々な副業をやりながら飯の種を食っており、Webマーケターの業務委託もやっています。その仕事で人材系のマーケターの求人多く手がけることがあったのですが、特定のスキル人材が非常に不足していることに気がついたのでご紹介します。

それは「言葉にならないモノを売る」マーケターです。

「言葉になる物」の価値は下がってきている

まずは大前提の話をしましょう。世の中には「言葉になる物」つまり一瞬で何かを伝えられるものと、「言葉にならないモノ」つまり説明がかなり難しいが、良いものがあります。

「言葉になる物」の1つの例は、例えば「コップ」や「車」です。
たとえば、私が「コップ」や「車」と書くときに私の頭の中で思い浮かべるものと、読者のみなさんが思い浮かべるものはそこまで変わらないはずです。こういったものは世の中でイメージが固まっており、普及しきっています。
どのような時にニーズが発生し、誰が欲しいと思うのかは、世の中に普及している分、再現性があります。つまりここには論理的なデータ分析や、マーケティング理論を使った研究のしがいがあるのです。

例えば、人が「言葉になる物」であるコップを欲しがるのはどんな瞬間でしょうか?
普通に考えると、コップが割れたときに、新しいコップがとっさに欲しくなるはずです。なのでコップを日常的に割ることが多そうな、小さい子供が居る家庭をターゲットにして、CMをしましょう、という施策を考えることが可能です(予算があれば、ですが)。そしてそれは実際に効果もあります。

では「言葉にできないモノ」とはどんなものでしょうか?
それは世界観だったり、雰囲気、複雑なものだったりします。

例えばほとんどの映画は「言葉にできないモノ」です。
あなたは「自分が面白いと思った映画を友人に勧めようとしたものの、うまく面白さが言葉にできずに失敗した」経験は無いでしょうか?
これこそがまさに「言葉にできないモノ」の力です。確実に良いものだと思っているが、何が良いのかを言葉にするのはとても難しい。そのような特徴があります。

「言葉にできないモノ」の価値が上がっている

実は今までの時代は「言葉にできる物」が尊重されていた時代でした。例えば昭和の3種の神器と呼ばれたテレビや洗濯機、冷蔵庫。全て言葉にできるものですね。

しかし平成の時代に3種の神器は現れませんでした。これは価値観が多様化し、人によっていいと思うものがバラバラになってきた為です。もはやほとんどの人はすでに普及しているものには興味を示さないのです。

その分「言葉にできない複雑なもの」の価値が上がってきています。
例えば「体験」はなかなか言葉にしづらいモノです。近年伸びている旅行産業も、衰退していると言われている音楽市場の中でも伸び続けるライブ市場も、全て「体験」を売っています。固定的なファンが多いApple社も、単なる携帯電話以上の言葉にしづらい世界観や思想を売っています。近年話題のオーガニック製品も、オーガニック製品そのものを売っているわけではなく、オーガニック製品を通した暮らし、ライフスタイルを売っているのです。

ものが溢れるに従って「簡単に言葉にできる物」の価値が下がり、その分「言葉にしづらいモノ」の価値が上がってきているのが近年の状況です。

日本のマーケターの殆どは「言葉になる物」を売っている

さて冒頭に戻って、この世の中の潮流がマーケターにとってどのような影響を及ぼしているのでしょうか?
実は日本社会の中のマーケターのほとんどが、「言葉にできる物」を売っている企業の中で育成されてきました。日本の産業界の主流を占めるのが製造業、つまり「言葉にできる物」の世界です。

ですが、これはいわゆるハードウェアとソフトウエアの違いの話ではありません。
例えばIT業界のマーケターや、広告代理店のWebマーケターであっても、実は「言葉にできる物」を売っています。その証拠に、リスティング広告は典型的な「言葉にできる物」の世界に属しています。
Webマーケターが「会計ソフト」を売れと言われたら、会計ソフトを欲しいと思っている人がどんなキーワードで検索するのか?をまず調べていきます。これは会計ソフトがソフトウェアで、実際には触れなくても「言葉にできる物」なのでリスティング広告ができるわけです。

では、旅行代理店のリスティング広告やSEOはどうでしょうか?
旅行は言葉にできない体験が商材なのに、リスティング広告を出しているじゃないか。
そんな反論が出てきそうですが、これも実は矛盾しません。

なぜなら、リスティング広告やSEOは言葉にできる範囲でしか扱えないからです。リスティング広告はハワイに行きたいとすでに思っている人に対して広告を出すことができますが、なんとなく海外旅行に行きたいと思っている人に対しては不可能か、殆ど間接的な効果しかありません。
なんとなく海外旅行に行きたいと思っている人は、友人と相談などをしていて、そもそもGoogle検索すらしない可能性が高いのです。しかしどこの旅行先に行くのか決めるのは、その友人たちとの会話だったりします。このプロセスは全く言葉にできないものなので、リスティング広告やSEOは殆ど使えないか、間接的な効果しかありません。

結果として世の中にはリスティング広告ができるWebマーケターや、消費財の分析と施策出しができるマーケターなどが溢れていますが、「言葉にできないモノ」を売れる仕組みを作れるマーケターが極端に少なくなっています
早い話がiPhoneのような、世界観を作って売る仕組みを作るマーケターがいないのです。

今、世界観を構築できるマーケターになっておこう

さてここまでの話で、最大のツッコミポイントは

「話はわかった。だが世界観を伝える仕組みなんてあるのか、どうやるんだ」
「雰囲気を売るのは顧客と話す営業の仕事じゃないのか」

ではないでしょうか。

まず世界観を顧客に伝える方法は、確実に世の中に存在しています。
ディズニーはどうでしょうか?一流のホテルはどうでしょうか?Appleはどうしているでしょうか?
彼らは世界観を保ちながら顧客を獲得し売上を上げている企業たちです。ここにはエンターテイメント企業だけでなく、ハードウェアを売っているAppleも含まれています。つまりハードウェア産業でも、顧客に対してきちんと世界観を伝える努力をすれば、可能なことなのです。

さらに、ここでいう雰囲気を伝えるのは営業の仕事ではありません。営業と話す前に、既にそのような雰囲気を作っておくのがマーケターの仕事になると言っているのです。
具体例を出しましょう。Amazon Web Service (AWS)は、その良さをコミュニティを通して潜在顧客に伝える「コミュニティーマーケティング」を実践したことで有名なサービスです。
そしてそこでは実際にマーケティングの力で、企業にとっての潜在顧客を連れてくる雰囲気を作り出すことに成功していました。つまりAWSを使用しているユーザたちは、その良さをコミュニティを通して熱心に同業者たちにお勧めしていたのです。つまり、営業する前から既に導入に乗り気な企業が自然と集めてくることに成功していたのです。

つまり、顧客との好ましい雰囲気作りは営業の仕事ではありません。
むしろ営業がいなくても可能なことなのです。

まとめ:「言葉にならないモノ」を売る世界にチャレンジしよう

世界的にもただハードウェアを売っているだけの企業は没落しつつあり、言葉にできないものを売っている企業は様々な産業で勢い付いています。それは日本でも例外ではなく、特に得る仕組みを作るマーケター界隈では後者ができる人材が極端に不足しつつあります。

もしあなたがマーケターとして「言葉になる物」を売っている世界に属しているのであれば、希少価値はありません。
現代では様々な副業などの手段もあるので、「言葉にならないモノ」を売る世界にちょっとづつチャレンジしてみるのはいかがでしょうか。