7/9 厚生労働省「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」の概要

7月9日10:00~12:00に厚生労働省にて、第8回「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」が開催されました。

7月11日現在、議事録はまだ公開されていないのですが、報告書(案)が公開されていたので、本記事ではその概要をお伝えしようと思います。

大まかに目次を眺めると報告書案では、以下の点に触れています。
・副業・兼業の現状について
・副業・兼業促進の政府の対応状況について
・労働時間規制の変遷について
・関係企業などへのヒアリング結果について
・外国の状況について
・健康管理に配慮した労働時間管理の在り方について
・今後の方向性について

副業・兼業の現状について

元々、企業は企業統治の観点によって自社での労働に専念させたいという思いがありました。

しかし、近年生産年齢人口が減少していく中で、政府が副業を推進している事もあり徐々に企業側にも対応の変化が表れています。

とはいえ、現状の企業の副業・兼業への対応状況は、副業・兼業を認めていない企業が85.3%、推進してないが容認している企業は14.7%程度になっています。

この結果は、企業側に、以下のような不安感から来ています。
・本業がおろそかになるのではないか
・長時間労働になる可能性がある
・労務・労働時間管理上の不安がある。

副業・兼業促進の政府の対応状況について

ここで、政府の副業・兼業に対する対応状況を見てみましょう。

そもそも、副業・兼業の普及促進を図る方針が発表されたのは、2017年3月の「働き方改革実行計画」でした。

この実行計画では、副業・兼業は、新しい技術の開発、オープンイノベーションや起業、第二の人生の準備をする手段として有効であるとされています。

そこで、企業が副業・兼業者の労働時間や健康をどのように管理すべきかを示すガイドラインの作成を行い、副業・兼業を認める方向で、モデル就業規則を改定するという事が示されました。(2018年1月に改訂版モデル就業規則が作成される)

労働時間規制の変遷について

実は、労働基準法の変更によって、労働時間というのは過去何でも変化しています。

1947年、労働基準法が初めて制定された当時は、1日8時間、週48時間という風にさだめられていました。
その後、社会的背景の変化によって、フレックス制、変形労働時間制、裁量労働制などについての法整備が進められました。

しかし、現状の労働制度では、労働の通算時間が法定基準を超えた場合には、36協定を締結し、割増賃金を支払わなければならなとされています。

同文書によると、副業として法定労働時間を超えた場合には、副業先の労働者が事前に確認すべきとされており、通常、割増賃金を負担するのは、副業先ということになっています。

一方で、法定労働時間に達している事を本業先が既知の上で労働を行わせている場合には、両者が、義務をおうことになります。

関係企業などへのヒアリング結果について

企業へのヒアリングの結果は以下の傾向が強いということになっています。
・企業内だけでは身に着けられない経験を身に着け、自社の人材の能力を高めたい
・労働者の自由の実現のために、企業秩序に反しない範囲で、労働者の希望を認めたい

しかし、対象企業とその母数、傾向の割合などが記載されていないために、全体の傾向として判断するにはあまりにも乏しい内容であると思いました。

外国の状況について

フランス

フランスでは最長労働時間規制があり、1日10時間、週48時間、12週平均44時間を超える副業は禁止されています。

基準を超えていた場合には、どちらかの労働契約を打ち切る必要があり、労働者が選択しない場合には、企業が労働者の解雇を行うことが可能になるようです。

ドイツ

ドイツでもフランスと同様最長労働事案規制があり、1日10時間、週48時間、6か月の平均が1日8時間を超える副業が禁止されています。

ドイツでは本業側が、雇い主として、労働契約を結ぶ際に副業の有無について確認することができ、それに対する応答には虚偽の発言をしてはならないとされているようです。

それをもって本業側が、労働者の勤務時間の把握を行うことができるので、企業が調整を積極的に試みるようです。

ドイツでは割り増し賃金の法律上の規制はなく、協約によって設定されるようです。

オランダ

オランダは他国と比較すると、最長労働時間規制は最も長く、1日12時間、週60時間、16週平均48時間となっています。

上記は副業も含めた時間になるために、労働者が企業に労働時間を報告する義務を負っており、副業を知った企業は、両者の間で、時間を調整するためにコンタクトをとらなくてはならないとされています。

健康管理に配慮した労働時間管理の在り方について

現行制度では、健康管理の面においては、定期健康診断、ストレスチェック、長時間労働者の医師面談始動の義務付け、健康状況によっては、就業上の調整の義務などが行われております。

しかし、副業・兼業者についての労働時間の通算は行われていないために、これに属する人についての健康管理は対策されていません。

また、上限規制については、通算の上限労働時間を超えた場合に、事業者が法律違反となるのが現状ですが、通算労働時間が上限を越えそうな者の管理は困難であり、副業を認める事についても、この点が現状大きな懸念点になりかねないという点に課題があります。

割増賃金については、これはそもそも本業のみで働いている場合の時間外労働抑制措置であるので、副業を考慮した場合についてはあまり考慮されたものには現状なっていません。

上記の場合と同様に、これが副業の促成を阻害してしまう要因になってしまう可能性や、副業側企業の視点から見たときにこれが、労働時間の抑制につながるのかという点に疑問があります。

現状、日本では労働時間の把握には、労働者からの自己申告を取り入れていますが、副業が増えると労働時間の管理の工数が増大する事や、企業が自己申告の真偽を確かめる手段がないという点や、労働者が自己申告しない場合がある事が課題として挙げられています。

今後の方向性について

ここが一番重要になると思うのですが、
まず、労働時間の通算制度の有無については、通算の上限を設けることが健康の保護につながっていると考えられるので、なくなる可能性は低いです。

その一方で、副業を行う者の労働時間の把握が現状大きな課題で、健康面に深刻な影響を及ぼす可能性が考えられるので、注目のポイントになっています。

しかし、副業を行っているものの管理まで本業企業が行う事はやはり困難であるという認識で、副業を行っている者に関しては、本業一本と比較すると、自己責任の面が増えるようです。

事業者側はでは何もしなくて良いのかというとそうではなく、自己申告によって時間数が把握できており、通算時間が上限を超える場合には相応の行動を起こすことが義務づけられるようです。

上限の時間設定については、月毎に各勤務先での就業時間を設定し、その勤務時間内での労働におさえるようにするという方針がとられるようです。