なぜ、副業を解禁?会社員はどう行動すべき?

近年、多くの企業が副業を解禁しています。なぜ、多くの企業が副業を解禁するのでしょうか?そして副業を解禁することがそこまで大きく報道される理由は何でしょうか?

政府と企業が副業を解禁する理由と、それが会社員にとってどんな意味を持つのかをご紹介していきます。

政府が副業解禁を推奨。多くの企業も認める形に

近年、多くの企業が副業を解禁しています。

以前、といってもほんの2010年くらいまでは、副業を解禁するのは一部の先進的な企業の専売特許のようなものでした。そして副業をしている会社員は「給与だけで生きていけない会社員の選択肢」「会社からの裏切り者」のような価値観が漂っていたのです。

その状況が変わったのは2015年くらいからではないでしょうか。安倍政権が「働き方改革」を提唱し、様々な政策を実施するようになりました。最初は女性やパートタイマーなどを対象にした正社員以外の制度改革が多かったものの、次第に雇用の本丸である「正社員」にも着手するようになりました。

なぜでしょうか?実は日本の労働生産性は、主要先進国の中でも最低レベルなのです。世界と比較すると時間あたりの労働生産性はアメリカがトップ。その次のイギリスやドイツにすら2000年前後からかなりの差が空けられており、今や主要先進国の中でも最低で、韓国とそこまで変わらないところまで来ています。この点は政府も問題意識を強く持っていました。

その主な原因が、硬直した日本型雇用です。日本企業には労働の硬直性、つまり辞める人と入社する人の数が極端に少ないが故に、企業を跨いだ産業内での人材の適材適所が行われていない、と言われているのです。企業からしてもこの日本型雇用では外部から優秀な人材を雇い入れるよりも、自社の人材で賄おうとする意識が強く、いらない社員をクビにできません。結果として本来なら必要とする人材以上に多くの人材を抱えてしまいがちです。

日本企業の停滞が目立つようになると、この問題がより鮮明になってきました。そこで、日本企業は社員を新卒で一括採用してまとめて面倒を見る日本型雇用をやめ、必要な時に必要な人材を雇う雇用形態に移行しようとしています。現に2015年以降、経団連による新卒一括採用時期の見直しが大きく話題になりました。そして2019年現在、財界は新卒一括採用すら止めてしまう方向性に舵を切りつつあります。これはまさに日本型雇用の見直しの潮流の中で起こったことなのです。

そしてこの雇用形態の見直しの中で、ついに正社員にも改革のメスが入ります。
実は、これこそが副業解禁なのです。

多くの企業が副業を解禁する意味とは?

会社は面倒をみきれなくなった

実は副業解禁は日本型雇用の見直しと大いに関係があります。簡潔に言うと、企業が社員にもっと辞めてもらいたいが故の副業解禁なのです。

どういうことでしょうか?会社員にとっての副業は、会社以外の生計を立てる手段を持つということです。本業以外に生計が立てられるのなら、その社員は辞める可能性があります。でも、企業にとってはそれでいいのです。

ここで重要なのは、企業にとっていらない人を含めて辞めやすい雰囲気を作ることです。副業で稼ぐ会社員がたくさん現れて、利益に大して貢献していない社員がそれに触発されて円満に辞めてくれるなら、これほど企業にとって嬉しいことはありません。

そんなに社員が辞めてもらうことが良いのでしょうか?実はこれも企業側にとっては大した問題になりません。
「2:6:2の法則」をご存知でしょうか?どんな組織でも、階層や役職に関係なく構成員の2割は組織の利益に殆ど貢献せず、6割は組織で自らの人件費を稼ぐ程度の貢献しかしません。真に核心的な価値は残り2割から生み出されている、というのがその内容です。これはハチの巣から最先端のIT企業までどんな組織にも当てはまる法則として、組織論ではよく知られています。
つまり本当の意味で企業にとって辞められて「痛い」のは社員の2割程度しかいないのです。残りの8割は比較的簡単に穴埋めが可能です。組織にとって「並」以下の貢献しかしていないからです。もし本当に有能な2割が辞めそうになったら、企業側は本気でその辞職を取り下げさせるように努力すれば良いだけです。

優秀な人材が残ってくれれば、それでいい

銀行業で初めて副業を解禁した新生銀行の執行役員、林貴子氏のコメントには、以下のようなものがあります。

終身雇用にはもう限界が来ています。今後、銀行はフィンテックの流れもあり、同じ数の社員を雇っていける保証はありませんし、必要な人材像も変わっていきます。そういった変化に対応するためには、会社側にも、社員個人の側にも、働くことの選択の自由がなければいけません。Newspicks,2018/06/01

これはまさに前述の、優秀な社員だけが残ればいいということをそのまま意味しています。もはや企業では面倒をみきれないので、適当に稼ぎ口を見つけてうまいことやってくれ、というのが本音なのです。
副業解禁の流れには本質的にはこのような企業側の問題意識があることを会社員は知っておきましょう。

会社員にとっての副業解禁の意味

長寿化に伴い、会社収入+年金だけでは引退しきれない

さらに副業の解禁は企業側の都合だけの問題ではありません。長寿化に会社収入と年金だけでは対応しきれないことも理由として挙げられます。

現在の日本人の平均寿命は80歳を超えています。これは65歳を超えてからも15年以上人生が続くことを意味しています。将来的にはさらに伸びる可能性があります(これが人生100年時代と呼ばれる理由でもあります)。
さらにこれはあくまで平均であり、あなたの寿命とはあまり関係がないことを留意すべきでしょう。医療技術の発達と公衆衛生の改善によって、100歳まで生きるのも珍しくなくなってきています。あなたが100歳まで生きる場合、引退生活はなんと35年間にも及びます。会社員時代と殆ど変わらないほど長い時間が引退後にも待ち構えているのです。

この時間の生活費は一体どこからやってくるのでしょうか?年金と貯蓄だけで生きていけるでしょうか?会社員時代が簡単に45年だとしても、その後の35年を無収入でどう生きるのでしょうか?これはかなりムリのある計算になることは容易に想像がつくでしょう。

キャリアが広がり、やりたいことができるように

ここまで副業を解禁するネガティブな理由ばかり挙げてきましたが、会社員にとっては他にもいろんな意味を持ちます。例えばポジティブな立場に立つと、会社員の立場を捨てずにやりたいことができるようになる、という意味にもなるからです。

例えば、会社員になって諦めた、地元に貢献する家業を再び復活させることができる、というケースも考えられます。さらに、職場が変われば人間関係も変わります。仮に本業での人間関係が芳しくなくとも、副業で充実していれば辛い時期を乗り越えることも可能になるでしょう。副業と本業でバランスを取るのは、良いこともたくさんあります。

解禁されたなら、副業を始めてみよう

副業解禁の流れには、政府が着目していた企業の日本型雇用からの脱皮が背景としてあります。そして、企業も副業を通していらない社員には円滑に辞めてもらいたい、という意図があります。
会社員個人としては、まず長寿化により年金と会社員時代の貯蓄だけでは生きていけないことが大きな理由としてあります。さらに、会社員にとって人間関係のリフレッシュにも繋がる可能性があります。

多くの世の中の潮流が、副業へと繋がってきているのです。ぜひ、副業を始めてみてはいかがでしょうか。